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    <世界の潜水事情(2)>
 
      バブル景気が崩壊してからと言うもの、我が国の潜水業界は残念ながら活況とは
     言えない状況が続いています。政府の景気判断は、底打ちから上向きに転換したと
     ニュースでは伝えていますが、仕事量の減少や根強いコスト削減要求に加え、
     レジャー業界からの新規参入組の増加など、潜水作業を生業とする者にとっては、
     相変わらず厳しい状況であることには変わりありません。

      このような状況は、日本に限ったことなのでしょうか?外国の潜水業界は潤って
     いるのでしょうか?
 
      外国の潜水業界というと、真っ先に海底油田開発に従事する潜水士を思い
     浮かべる方が多いと思います。飽和潜水という特殊な潜水技術を駆使して、
     数百mにも達する作業水深下で何ヶ月も働く代わりに、ビックリするような報酬を
     得ている潜水士には、同じ潜水士としてある種の憧れを抱きます。

      ご存知のように石油産業は、とてつもなく大きな業界です。世界の石油産業の
     上位12社の売り上げ合計は、およそ130〜150兆円にも達します(わが国家
     予算の倍!)。このうち25〜30%が海底油田産業によるものと言われています
     ので、その金額は40〜50兆円となります。全く想像できない金額ですが、その内
     潜水作業に使われる金額も2〜3000億円以上という途方もないものです。
     潜水士が高給であることは言わずもがな、例えば、北海油田で働くトップクラスの
     潜水士の年収は、実働わずか150日で2〜3,000万円にもなるそうです。

  海底油田開発は北海に始まり、メキシコ湾を経て、
 現在はインド洋を含むアジア周辺海域に及んで
 います。我々アジア人の潜水士にとってはチャンス
 到来と言ったところかもしれませんが、もちろん一朝
 一夕にオイルダイバー(海底油田開発に関わる
 潜水士のこと)になれるわけではありません。
 何千万円もの収入を得るためには、やはり
 それなりの努力が必要です。オイルダイバーの
 数がもっとも多いと言われているフランスでは、
 オイルダイバーになるためには、まず労働省管轄の
 職業潜水学校に入学しなければなりません。筆記
 だけでなく実技や面接までもある試験は非常に
 ハードルが高く、合格率は20〜30%程度です。
 なんとか試験に合格しても、それからがまた大変で、

海底油田掘削リグ

 数ヶ月にわたって専門的な教育を受けていかなければなりません。その間にも、
 段階に応じて進級試験があり、それらに全て合格して、やっと卒業できるのです。
 しかし学校を卒業したからといってすぐにオイルダイバーになれるわけではなく、
 そのための最低条件を手にしたというのに過ぎません。

      一方、米国では、オイルダイバーにしろ、港湾潜水ダイバーにしろ、作業潜水士に
     なるためには、やはり職業潜水学校に入学する必要があります。この学校は
     フランスと違い民間の学校ですので、比較的簡単に入学できるようです。オイル
     ダイバーになるためには、この学校を卒業した後、石油会社に入り、オイルリグ
     などの現場で200日以上の実務経験を積み重ねなければなりません。そうして
     オイルダイバーにまで到達できるのは、ほんの一握りの人たちなのです。

      それでは、その他の人たちはどうなのでしょうか?潜水作業は、石油関連ばかりで
     なく多岐にわたっており、米国では、桟橋や橋梁などの建設や検査、修復などが
     多いようです。また、原子力発電所関連の仕事も多いようでが、最近では特に
     光ファイバーケーブル敷設工事に絡む作業も増えてきているとのことです。
     エコブームの世界的な広がりや原油価格の低迷などにより、現在では、石油関係
     以外の仕事に従事する人のほうが圧倒的に多くなってきているようです。

米国の潜水士

  そんな米国の潜水業界では、近年、潜水士の需要と
 供給のバランスが崩れてきていることが問題になって
 います。先述のように、米国では職業潜水学校を卒業
 しないと潜水士になれないのですが、潜水学校からは
 毎年非常に多くの卒業生が輩出され、現在では供給
 過剰気味になってきています。そのため、せっかく
 潜水学校を出ても潜水会社に就職できなかったり、
 会社に入ってもテンダー(支援員)の仕事しかなかったり
 というケースも多いようです。潜水学校を卒業するまで
 には「高級車を1台買えるくらいの費用」が掛かりますが、
 学校側は「あなたもオイルダイバーになれる」というような
 PRをしているため、高収入を夢見て入学する生徒が
 今も多いそうです。

      潜水士の供給過剰は、収入の低下という形で業界に跳ね返ってきており、
     テンダーで時給8ドル(約900円)、ダイバーで時給10ドル(1、200円)という
     状況で働いている人も多いようです。また、経験の浅い潜水士が、高収入を
     得るために難しく危険な作業に従事し、事故に遭遇してしまうといったケースも
     増えてきているようです。米国には潜水士の労働組合のような組織があり、
     そこでは潜水士の給料を「時給は19ドル+能力・歩合給」としているそうですが、
     学校を卒業して新たに潜水士を始める人のなかには、会社に属さず組合にも
     属さない人達も多く、それらの人達が安い給料で働くため前述のような問題を
     引き起こしているようです。

      なんとなく日本の状況と似通っていますね。こういった問題を打破するため、
     米国の潜水士達は、潜水士としての技能を高め、さらに「プロフェッショナル化」
     することにより新規参入者との差別化を図ろうとしています。一人前の潜水士に
     なるためには、多種多彩な技術、技能を持っていなくてはならず、それには多くの
     年数と経験が必要なことは、洋の東西を問いません。そこで潜水士としての実績を
     証明するために、潜水作業のログブック(潜水作業経歴書)が作られました。
     これには、今までどんな現場でどのような作業に従事したか、また実務経験は
     どの位あるのかなどが記載されており、仕事の発注者側がその潜水士の実績と
     経験を一目で知ることが出来るようになっています。また、組合主導で各種の
     講習会が開催され、潜水士の継続的なスキルアップも図られています。潜水
     事故の情報も、事故の大小を問わず組合に報告するようなシステムが作られて
     おり、集められた報告に基づいて事故の統計的な分析が行われ、その結果は
     安全対策情報として逐次会員に伝えられます。このように、米国では技術力と
     安全対策能力の向上に力点を置いた改革が進められています。一連の改革は、
     組合や組合員達によって、広く社会にPRされています。鍛えられた潜水士は
     『職人』であり、職人ならばこそ安全かつ確実な施工が可能であり、それは
     仕事の品質や効率の良い仕事という形で大きなメリットを発注者にもたらす、
     といった内容のPRも各方面に向けて行われているようです。こういった改革は、
     その成果が目に見えるものとなるためには、多少時間が掛かるかもしれませんが、
     潜水業界の将来を考えるときには避けて通れない道なのかもしれません。

      米国のやり方がそのまま日本に取り入れられるとは思いませんが、我が国の
     潜水業界にとっても低迷打破は至上命題であり、参考になる部分も多いと
     思います。
 
 
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